タイ国鉄の魅力 列車種別の概説 英語版HP.の充実ぶり キーワードは「どうしたんだ?タイ国鉄さん」

 元々、数年前(2010年代)まで、タイには日本でブルートレイン(JR西日本所属「あさかぜ号」等)として活躍していた車両がJRからタイに送られ、紫色に塗り替えられて、夜行列車として活躍していました。これには私も乗りたいと思っていたのですが、当時はタイ国鉄の予約システムは、現地予約しか対応できておらず、現地の旅行会社に手数料を支払い、予約するしかない状況。当時、私は台湾鉄道旅行にハマっていたことから、二の足を踏んでいるうち…


日本の中古ブルトレ車両はタイ国鉄の全ての定期ダイヤから引退してしまいました。

臨時・予備用としては一部残存しているそうですが、臨時・予備用では、いつ乗れるか?分からない…。

↓2020年1月現在、唯一の定期運用を持つ日本の中古車両はこれ。元12系客車改造の車イス対応エアコン座席車。南本線の急行夜行列車(83レ-84レ バンコク⇔トラン / 85レ-86レ バンコク⇔ナコンシータマラート)に連結。予約システム上は、エアコン付き2等座席指定車として販売。

(いつ運用離脱するか?分からないので最新情報はタイ国鉄英語版HPでご確認を…)

1970年製造というので、私(1972年生)よりも先輩なのね…。異国の地でお疲れ様です!




↓日本の元14系座席車も臨時用として健在。(2019年12月26日撮影)

車内はビニールレザー張りシートに張り替えられたものの、日本時代の雰囲気が残ります。

※この車両は週末にバンコク⇔ナムトク間で運行される臨時観光列車(909レ-910レ)で運行される場合があるようなので、是非、いつか試乗したいと思っています…。


 急な臨時運用に備えるため(単に更新を忘れているだけ?)と思いますが、今も東北本線の一部の夜行列車の車両案内のページに、JR寝台車両の案内が残っています。私はこれを見た際、「お! 実は定期運用が復活したのか?」と喜び勇みましたが、この車両の寝台を予約しようとすると、空席無しで表示され、予約できないことで、非連結と分かりました。

 2019年の今、タイ国鉄さんのHP.がどんどん充実して、長距離の優等列車を中心にネット予約ができるようになりました。中学生レベルの英語能力しかない、私のような日本の田舎者のオッサンでも、よ~く読むと、簡単にネット予約が可能。座席の位置もイラストで表示され、慣れてくると、面白いように予約できます。

タイ国鉄さんのオンライン予約システム

https://www.thairailwayticket.com/eTSRT/default.aspx?language=1

日本で言えば、駅のみどりの窓口の予約コンピューター「マルス」が、まるで自宅のPCにあるかのようです。ある意味、日本より進化しているようにも思いました。(通信速度は少し遅めですが…)

※なお予約した乗車券は、必ずプリントアウトして乗車時に持参する必要があります!

(スマホの画面ではダメとのことです。ご注意下さい!)

 また時刻案内や運賃・料金の案内も充実しており、様々な情報を手に入れることができ、私は、休日の暇な時間は、タイ国鉄の英語版HP.ばかり見るようになりました。

 タイ全土で列車番号を見るとだいたいの列車種別と使用車両が分かるようになりました。

 日本のJR在来線と同じく優等列車から若い番号が付番されているので、分かりやすいです。


【日本語付きのタイ鉄道時刻表(非公式)】

 また日本人の方で、タイ国鉄の時刻表を日本語付きで紹介されているサイトがあります。

(大変、助かります。ありがたいサイトです!)

https://t.tabitabi-asia.com/thai/index_thai.php


↑この時刻表を一度、確認して、タイ国鉄の全体像を理解してから、タイ国鉄公式HP.で詳細を確認すると分かりやすいです。


タイの列車種別一覧】

夜行特急

中国製の新型車が運用される夜行特急。非常に快適です。また運行上も他の列車を退避させるようで、遅延の発生が少ないです。(それでも30分程度はたまに遅延していますが、タイの鉄道旅行に慣れている諸先輩のご意見では、「タイ鉄道において30分の遅延はむしろ早着のように感じる」とのことで、郷に入りては郷に従うしかないようです。



座席特急

昼行の特急は、イギリス製ASR型や韓国製APD型の特急気動車で運用。


イギリス製のASR型は日本車両とは異なるスタイル、車体の裾を絞り腰高の独特のデザイン。

↓2020年2月23日、動いているASR初めて見ました!1991年生まれのスタイル良い英国紳士(英国製 タイ国鉄特急気動車 ASR型)定期運用は東本線に週末臨時特急1往復のみ。2月23日朝は故障なく定時運行していました。(私にとってはダイヤを乱されずにホッとしました…笑)私は30年前、スコットランド旅行で同型に乗車して以来…懐。

↓この写真は、韓国製APD型

客室乗務員が乗務し、軽食や食事(コンビニ弁当程度)のサービス付き。冷房付きで窓が開かないことから、窓を開けて車窓を楽しみたい私は敬遠しました。なお夜行の一部にも昼行用の車両がそのまま(座席車だけの編成で)運用されています。特急のダイヤで、予約システム上、寝台車の連結がないので、分かります。運賃・料金が高価であることから、利用客が少ないのか、3両編成程度の連結しかないようです。3両で非電化区間の昼行気動車と言えば…、1990年代の日本の山陰本線に例えると、この昼行特急気動車がキハ181系のようだと書かれた鉄ファンさんの記事がありましたが、なるほどね~と思いました。



座席急行

特急と異なり急行専用という車両はなく、旧型客車(非冷房)や近郊用気動車(日本製・3等車は非冷房)が運用。

ここで面白いのが、この近郊用気動車による急行運用。車両は1980年代、日本製の近郊用気動車。日本車両さんのHP.に「タイ国鉄向け気動車」として掲載されている車です。(検索するとすぐ出てくると思います。)ステンレス車体で、側面は日本のキハ47によく似ています。なぜこの車両が長距離を走る急行に抜擢されたのか?私が予想するにこの気動車がステンレス製で車体が軽く、性能が良いので、使いやすかったのでは?と思います。

3等車(普通車)ばかりでは、急行運用は厳しいので、2等車(グリーン車)も新製。(日本のキロ28のようなイメージ)この車だけは、冷房付きで、車内は一方方向に固定された転換できないクロスシート。しかし、この車は、窓が開かず、シートピッチと窓配置が合わないので、車窓が楽しめず、また乗られた方の感想では、エアコンが効きすぎて寒いとのことで、私は敬遠。3等の非冷房クロスシート車に乗りました。また一部はこの長距離の急行運用のために5両固定編成化し、中間に入る車の運転台機器を撤去されたそう。

しかしこの近郊用車の長距離急行運行には思わぬ問題が発生しているようです。燃料タンクの容量が小さく、運行途中で燃料補給が必要で、乗客を乗せたまま、主要駅で長時間(10-15分)停車し、燃料補給する姿を見ることができます。この近郊車両の急行、昼行だけなく夜行(座席車のみの編成)にもそのまま運用されている列車もあります。昼も夜も大活躍。日本の583系電車のような…。



もし当時のタイ国鉄さんが、さらに日本に急行用気動車を発注して頂いていれば、台湾国鉄(鉄路局)のDR2700(現在は定期運用を離脱済)のような優等車両が出来ていたのかもしれません。



夜行急行

前述の新型寝台特急の運用開始により、以前、特急用だった韓国製・日本製の冷房付きステンレス寝台車が連結されています

快速

旧型客車や近郊気動車で運行されています。夜行もあり、南本線には非冷房の旧型2等寝台車が連結される列車も残っています。快速で夜行で、寝台車付きといえば、日本では昭和世代の「ながさき号(門司港⇔早岐経由長崎)」とか「はやたま号(紀勢本線)」「山陰号(山陰本線)」を思い出します。2019年の今もこのような列車が走っているなんて、懐かしさを感じます…。

しかし、タイ国鉄も過渡期のようで、私が乗ろうと思った北本線を走る夜行快速の51・52列車は2019年末から、非冷房の旧型2等寝台車の連結がなくなり、冷房付きの2等寝台車のみの連結になりました。(残念!)

早く乗っておかなければ、もう乗れなくなるかも…と思い、南本線に残る非冷房の旧型夜行寝台車に是非乗りたい…! それで、2019年末に私もタイを往訪して乗車することができました。(これは別ページで掲載します)

ただ注意点が…。運行上は、特急・急行が優先されるようで、このような長距離運行の快速列車が最も遅延の影響を受けてしまいます。特に南本線の遅延が今も激しいのが実情です。

私が往訪した2019年末の実績では、最大90分の遅延でした!

※なお急行・快速は基本的に全席指定です。乗車券に座席番号が指定されています。しかし諸外国と同じように(日本と異なり)、空いている席は使用して良いというルールなので、自分の指定された席に先客が座っている場合が多々あります。その際は「その席は私の予約」とジェスチャーで示せば、先客は移動してくれます。


もちろん他に各停が全土で運行されています。各停は全席自由席です。

これまで私が現地を見た印象では、運賃が安い、急行・快速でダイヤが便利な便の乗客が多いようでした。



【今(2020年)のタイ国鉄は日本国鉄の昭和50年!に近い】

私が思うに2020年のタイ国鉄の夜行用の寝台客車車両の状況は日本国鉄の昭和50年頃に似ているようです。

特急夜行用:中国製の新型車が2016年に115両も登場。タイ全土の主要路線で運用開始

日本でいえば、24系(24型や25型)ブルートレインが新製されていた頃に当たりそう。

これで、日本から中古でタイに送られたブルートレイン車両は定期運用を失いました。

急行夜行用:1980-90年代に日本や韓国で製造され、元々特急用だった冷房付きステンレス車体の寝台車が中心に活躍。日本でいえば、20系ブルートレインが急行に格下げ運用されていた時期に似ています。

快速夜行用:日本の10系客車に似た非冷房の旧型寝台車もまだ活躍。しかし急行用の格下げもあり、少しずつ引退しています。北本線(チェンマイ方面)も運用が無くなりました。残るは南本線の快速夜行列車に活躍しています。日本でいえば、10系寝台車の引退の時期に似ていると思います。


【列車の遅延状況が確実に分かるトレイン トラッキングシステム】

タイ国鉄は数年前まで遅延が酷く、皆さんの旅行記録を拝見すると、長距離のダイヤでは、数時間遅延が恒常的。これはタイの皆さんの、のんびりした気質が影響しているとの意見もありますが、動画サイトで現地の鉄道状況を見ると、全路線が非電化、首都バンコク周辺以外は単線、さらに地方に行くと、今もタブレット閉塞・腕木式信号機・・・。列車交換時には、各駅共に同時進入できず、片方の列車は駅構内手前で待たせるしかないでしょうし…。

また渋滞の激しい首都のバンコク周辺でも高架化されていないので踏切が連続、踏切であっても大渋滞の道路交通を急に遮断することができず、列車の方を一時停止させる場合があり、踏切のトラブルが多いようです。



これらの要因で遅延が発生してしまい、さらにその遅延が上下線の全てのダイヤに増大しやすい運行環境にあることは事実なのです。

しかしここ数年、様々な改善策で遅延が少なくなってきているようです。

その一つが、線路の高規格化。コンクリート枕木化がある程度、完了し、2015年にダイヤ改正が行われ、スピードアップされ、また遅延状況を確実に把握できるこの「トレイン トラッキングシステム」が完成し、鉄道関係者だけでなく、利用者も、遅延の状況を事前に確実に把握できるようになりました。

http://tts.railway.co.th/passenger/view.php


このシステムを用い、毎日のようにタイの遅延状況を見ていたら、以下の状況が分かってきました。

優等列車の運行が優先され、長距離運行の快速や各停の遅延が発生しやすい。特に長距離便やマレーシア方面との国際貨物列車が運行されるタイ南部方面の南本線の遅延が発生しやすいです。

昼行用の車両がそのまま夜行(座席車のみで編成)で折返す運用があり(逆もある)、また長距離を運行して、折返し時間がわずかで、前ダイヤの遅延を吸収できずに、始発時点でも遅延する場合があります。

さらに下川裕治氏の著書にもあるように、折返し時間が確保できず、次のダイヤも大幅に遅延する場合、末端区間をバス・タクシー代行とする場合がある…。皆さんの旅行記録(著書やブログ記事から分かることは…↓)

運休が確認できる具体的な区間

東北線方面 ウドンタニ⇔ノンカーイ間の昼間の各停(昼間は1本しか運行はありません)

⇒このダイヤは、下川裕治氏の著書で、ウドンタニ以北の区間をバス代行されたと書かれています。しかしその後、訪問された日本の方の記録を見ると、きちんと鉄道で運行されたようです。(以前より折返し時間を多く確保するダイヤ調整が行われたようです。)

南本線方面 トゥンソン分岐駅⇔カンタン間 1日1本のみ運行のバンコクからの直通快速列車。カンタンへの支線を全区間運行するのはこの1日1本の快速のみ(支線内は各駅停車)終着駅カンタンでの折り返し時間は約90分弱。しかし前述のように南本線は遅延が激しいため、折返し時間が確保できない場合があり、イカロス出版さんの本に支線末端(トラン駅以遠)の約20㎞の区間を代行輸送する場合があると記載がありました。

私が2019年末に往訪した際は、60分遅延で終点まで運行してくれました。

私がタイ国鉄の様々な列車の遅延を見ていて、南本線を除けば、最大2時間程度(長距離快速なら3時間程度)の余裕を見れば、乗り換えも安心ではないかと思います。

南本線は心配・・・私も2019年末の旅行では、いくら遅延しても大丈夫という安全第一の旅行行程にしました。やはり予想通り上下線共に最大90分の遅延でした。


タイ独特の線路上のタブレット収受機(走行しながらタブレット=通票を収受する台座)

日本や台湾の収受機と異なり、最上部に点灯装置が付いています。これから推測されるのは、貨物・旅客共に夜間の運行が多いのだろうなと思います。タイにはまだ高速鉄道が無いため、長距離の輸送は夜間運行が多いのでしょう。

↓しかし現地では、実際にはこの収受機を使わず、腕で直接、収受する場面が多く見られました。

鉄道好き亭主 台鉄からタイ鉄への旅

「鉄道好き亭主のぶらり旅」 https://internationalrail.exblog.jp/  の別館で、台湾鉄道旅行が好きな私が、新たに訪問したタイの鉄道やバス旅行記を掲載します。

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