昭和の時代の地方私鉄の乗り心地が満喫できるタイ国鉄メークロン線


私が鉄道ファンになったキッカケは、生まれ故郷を走っていた鹿児島交通 南薩鉄道線(昭和59年3月廃止)です。のんびり走るローカル線の魅力はもちろんですが、赤字経営で、枕木は木材のまま、線路や路盤の状況が厳しく、ガタゴト、ガタゴト、激しいジョイント音を響かせて、路盤が悪いので、ユ~ラユ~ラ揺れながら走る独特な乗り心地…非冷房で窓を開放した車内には気持ち良い南国の風が入り込み、さらに沿線の元気な雑草たちも車内にまで入ってくる!・・・。

令和の日本では、もう味わうことが、なかなか困難な私鉄のローカル鉄道線の雰囲気。

(↓1980年の撮影の私。鹿児島交通南薩鉄道線 加世田駅構内にて)

しかし、タイ国鉄の支線 メークロン線のバンコク(ウォンウィエンヤイ)寄りでは、今も、このような楽しい乗り心地を体感できます。

この路線は元々私鉄線だったとのことで、なるほど、だから線路用地が少なく、住居が線路近くまで迫っていたり、踏切が多かったりする経緯が分かります。

支線のメークロン線、日本1985年製キハ47似の車で行く旅。



私が1980年頃、体験していた懐かしい南薩鉄道線の乗り心地そのものでした。傷んだ線路、激しいジョイント音、船のように大きくユ~ラユ~ラ揺れる車内。線路と車輪が擦れて生じる鉄粉の臭い、数多くの無人踏切、激しく鳴らす汽笛…。窓を全開した車内に飛び込んで来る沿線の元気な雑草たち…。懐かし過ぎる。良すぎる!

私は過去、数年間 台湾の鉄道旅行が好きになり、数回往訪したのですが、すでに先進国レベルに発展した台湾には、支線であっても、ここまで激しい路線はありませんでした…(ということは昭和50年の南薩鉄道線は、東南アジアのレベルだったということになるのかな?)



タイ国鉄メークロン線は各停(鈍行)しか運行されていないので、2時間乗車して片道70円!です。 しつこいですが、700円ではないのですよ。70円です。ここまで楽しませて頂いて、この価格…。嬉しい。ありがとう! タイ国鉄さん。


↓車内は、プラスチック製のセミクロスシート。座席配置は日本のキハ45・47とよく似ています。

↓車内には扇風機が…日本製なので、「JNR」と書いてありそう・・・笑。

車内で氷入りのジュースを飲みながら試乗しようと思い、駅の売店で頼んだら、あら?ナイロン袋入り。これじゃ車内で置けないじゃないですか~。私はタイ語ができないので、ジェスチャーだけでお願いしたからダメなんでしょうね・・・。




【「クロントンサイ駅」1日1回の列車交換 手動ポイント】



訪問前に時刻表を見ていたら、バンコク寄りの「クロントンサイ駅」という駅が朝ラッシュ時の増発時に、1日1度しか交換しないダイヤになっており、グーグルストリートビューで駅を見たら、「名鉄美濃町線 日野橋駅」に似た雰囲気(最低限の交換設備と構内に横断する踏切がある)で、是非、交換するダイヤの列車に乗ってみたいと思い、訪問しました。

↑この動画は以下の構成になっています。

① 起点始発駅のウォンウィエンヤイ駅に入線する列車

②通常、交換設備を使用しない場合、本線を直進した映像(交換線の草に埋もれた様子がよく分かります)

③1日1回だけの交換する該当列車(ウォンウィエンヤイ7:40始発 第4341(D)列車)に乗った際の前面展望を含む映像。交換相手の列車は本線をユ~ラゆ~ら揺れながら、のんびりと入線してきます。日本ではもう見ることが、なかなかできない、路盤が整備されていないローカル私鉄線の雰囲気です。(昔、日本で走っていた南薩鉄道線とか加悦鉄道線とか思い出します)懐かしい!(なおこの路線、今はタイ国鉄ですが、元々は私鉄とのこと…)

④逆方向 上り列車が、本線を直進する映像(踏切の真ん中で停車してしまいます!)

⑤駅ホーム側の映像



次に「ランポ―」駅での列車交換風景です。駅手前で一時停車。徐行入線。手動ポイントには駅員(転轍係)さんが待っていて、元気の良い声で、挨拶されます! 完全な手動ポイントを国鉄の旅客営業線で使っているのは驚きです。(私の個人所有の鉄道模型もコスト削減のため、手動ポイントですが…笑)それもポイントを足で押さえ、車輪の勢いでポイントが転換しないようにしています。(この光景は日本では昭和30年頃の軽便鉄道線の写真で見たことがあります…)

 続いて交換列車が登場、運転士さん同士で笑顔の挨拶! 対向列車は一部、ドアが完全に閉まらない状態のままで運行!(涼しくて良いのかも)対向列車が入線しきらないうちに、こちらの列車は何の合図も無く、発車!




【マハ―チャイ駅】

メークロン線は、タイ王国中部にあるターチン川により東線(ウォンウィエンヤイ駅 - マハーチャイ駅)と西線(バーンレーム駅 - メークローン駅)に隔てられているタイ国有鉄道の鉄道路線です。

 その東線の終点駅がマハ―チャイ駅。港町の市場の中に突っ込むように列車が走ります。



観光地になってしまい危険を感じる程、人の多い「メークロン市場」と異なり、このマハ―チャイ駅は地元の皆さんの市場で、のんびりした南国の庶民市場の風情を楽しむことができます。


↓3輪自転車(リクシャー)も活躍、良い雰囲気です。



↓踏切の遮断機(手動)は、完全に店の中に取り込まれてしまっていますね。

ホーム上の売店で売られていたバックは・・・あれ?どこかで見たような? 



終点駅の先には小さな機関区があり、木陰に日本製のステンレス車体の気動車が休んでいます。その横には最新型の自動コイン式有料トイレもあります。

【衝撃!マハ―チャイ駅の構内、本線ホームの線路がこれで大丈夫か?】

タイ国鉄 メークロン線のマハーチャイ駅。港町の市場の中の駅。これから列車が入ってくる目前の線路がこの状態! 大丈夫かな? 




この路線、1日15往復以上が運行され、昼間約60分間隔での運行で利用客も多いのですが・・・。そして日本製のステンレス気動車が4両編成で入線。こんな線路でも大丈夫なのですね!?

 以前、日本のBSテレビ番組でこの路線が紹介された時、鉄道関係者から「この路線は路盤が悪いので、日本製の軽いステンレス車体の車両しか運行できない」と言われていましたが、納得!

 タイ国鉄さんの名誉と観光に訪問される方のために申し添えると、この路線、他の箇所、特に速度の出る本線部分は、数年前に数カ月運休して、改善工事(線路を重軌条化・コンクリート枕木化)したので、不安はなく、安心です!! 多分?いつかこのマハチャイ駅も改善工事をする?


↓マハ―チャイ駅の少し東側に放置してある廃車体。キハユニ26のような合造車もいたんだな~・・・。


【マハ―チャイ駅からバーンレム駅へ渡船で移動】

メークロン線は途中、路線は途切れ、渡船に乗り換える必要があります。

●ウォンウィエンヤイ駅待合スペースに掲示してあるマハチャイ駅からバーンレーム駅への渡船を経由した連絡の案内図。


↓渡し船の船内の大音量のタイ演歌?が流れます。音量注意!です。

バンコク(ウォンウィエンヤイ駅)から、鉄道で約1時間 10バーツ、日本円でわずか35円!! バンコクの南西の市場の港町、「マハ―チャイ」の駅と対岸の港「バーンレーム」を結ぶ渡し船を撮影した動画です。

渡し船はタイの演歌が船内のソニーのステレオからガンガン流れ、これはこれで楽しく乗船できます。

港町は東南アジアの穏やかな緩やかなイメージ。私は、朝のホテルのバイキング朝食でお腹が空かず、暑さも手伝い食欲がなく、昼食は駅近くの市場の道沿いにあるコンビニ「セブンイレブン」で冷たい切マンゴーとビールを買い求め、渡し船を見ながら港のベンチで・・・。お金は要りませんが、なんだか充実した旅の思い出になりました・・・




さて渡船を降りたらバーンレム駅へ向かいます。徒歩10分近くかかります。乗り換え時間には余裕を持ちましょう!またバーンレム駅から先、メークロン駅へは運行本数が極端に減り、1日4往復しかありません。ご注意下さい!




【バーンレム駅構内の写真展示】



バーンレム駅構内には、昔日のメークロン線の写真が展示してあります。

屋根が浅いキハ10タイプの車両や機関車も在籍していたようです。


そして終着駅へ

【メークロン駅 到着!】





タイで有名な観光地になった国鉄メークロン駅前の線路の上までせり出した市場。列車が来る度にテント屋根をたたみ、列車が通過するとすぐに元に戻して商売を再開するなんともユニークな市場で、その様子から折り畳み(傘畳み)市場とよばれています。


私も2019年11月初試乗。世界中の人と笑顔で手を振りあい、平和な印象で、良かったです。

私もカメラを構えながら、超笑顔で手を振っています。途中、オジちゃんから投げキッス頂いています。嬉しい?!

お店の従業員の皆さんは少し迷惑そうな表情で、その対比も面白い…。

しかし、私はあまりに有名な観光地の人混みは嫌いで、すぐ、折返しの列車で、出発しました。


※【ご注意】私は前方を見ながら、危険と感じたら、少し顔を引き込めながら、撮影しました。また後方を撮影する際も実は眼と体は前方を安全確認しながら、撮影しています。商店の柱に頭が激突したら、大怪我になりますので、十分ご注意下さい!


↓線路の終端部の先にも駅名標が…その先は大きな河川。




【メークロン線には他にも色々と新鮮な衝撃が…】

ドアは、列車が動き出してから閉める、停止前にはドアを開ける。

これを乗客も分かっていて車両が少し動いているうちに乗降している。

ホーム側ではない側面のドアも開ける場合が多い。

元々、車両側にステップを付けた低いホームで運用しているので、乗客は自分の都合の良い方のドアを使う。合理的と言えば、超合理的!

 2019年11月3日に乗ったキハに至ってはドアが完全に閉まらない状態=半開きで走行。これの方が、涼しくて逆に良いと皆さん思っているのでしょう。


さらに2019年12月31日に乗った際は、故障か?ドアを完全に開放したままで運行していました…。



タイ人の精神「マイペンライ=細かいことを気にしない」私は非常に好きですし、私も同じです。ん?しかしそれで良いの?

この動画を見て頂いたら分かるようにこのメークロン線、信号・閉塞設備は皆無で運行しているそうです。2020年の今、閉塞システム皆無で旅客鉄道を運行するとは驚。基本は運転士(乗務員)と駅員(地上職員)の無線交信・駅員さんの手旗信号で確認しています。非常・有事の際が心配と言えば、心配です。

ただし、安全のためと思いますが、交換駅での上下線の同時進入は避け、一時停止していました。

しかしタイ国鉄には昔から安全側線、脱線ポイントの考え方は無かったようで、皆無です…。夜中にブレーキ切れて無人で貨車が本線進入、事故とか無かったのかな…。


衝撃!! あっ!衝突する!! 線路内侵入 緊急停止!と思いきや、無事通過できます?! あれ?


【ジャングル鉄道】嵐スコール 植物に襲われる 枝パンチ炸裂 駅に見えないジャングルの駅


鉄道好き亭主 台鉄からタイ鉄への旅

「鉄道好き亭主のぶらり旅」 https://internationalrail.exblog.jp/  の別館で、台湾鉄道旅行が好きな私が、新たに訪問したタイの鉄道やバス旅行記を掲載します。

0コメント

  • 1000 / 1000